本記事は、以下のようなお悩みがある中高生におすすめです。
・探究のテーマが思いつかず困っている
・ほかの人と似たような探究のテーマ・問いになってしまう
・探究のモチベーションが上がらない
1. 探究の肝は「テーマ選び」
探究はテーマを決めることから始まります。みなさん、探究テーマを何にするかすでに決めましたか?
探究は学校によって取り組み方がさまざま。グループワークやゼミ形式で取り組む場合もあれば、個人で取り組む場合もあります。自分で自由にテーマを決める場合も、仲間と探究するテーマを決める場合も、どう選んだら良いのか迷いますよね。
探究は、課題設定、情報収集、整理分析、まとめ・表現 といったプロセスで進めていきます。
探究の第一歩目となるテーマ選び(課題設定)は、探究の肝と言っても過言ではありません。
たとえば「世界平和」「地域温暖化の解消」など大きなテーマを設定してしまうと、漠然としすぎてなにから情報収集していいのか分からなくなります。また、よく聞く社会課題だからといって興味がないことをテーマにしてしまうと、モチベーションを保てず、探究の時間が苦痛になるかもしれません。そのような状態は避けたいですよね。
そこで、これまで1万人以上の探究成果を見てきた株式会社トモノカイが主催する中高生向け探究コンテスト「自由すぎる研究EXPO」の事務局が、探究のテーマ選びに迷っている人向けに意識すると良いポイントをお伝えします。
せっかく探究に取り組むなら、有意義に楽しんで取り組みましょう!
2. 探究テーマのおすすめの4つの方向性
ここでは主な探究テーマの方向性を4つご紹介したいと思います。コンテストの受賞作品から参考事例もご紹介するので、「自分だったらこんなふうに探究テーマにできるかな?」と考えながらご覧ください。
① 自分の興味関心
自分の趣味や最近気になっていること、部活動のことなど、自分の興味関心から選んでみるのも良いでしょう。特に「どうしても思いつかない」、「正直、探究が少し面倒・・・」という人には探究のモチベーションになるのでおすすめです。
・これまで夢中になったもの/こと
・周りの人におすすめしたいもの/こと
・自分の「推し」
などはありませんか?自分がなにかの「オタク」であればそれをテーマにするのも良いでしょう。自分が興味関心のあることであれば、楽しく取り組むことができます。
▼「自分の興味関心」からテーマを選んだ参考事例
『ゾンビボルボックスの「マイクロ電池」化』
微生物オタクを自称する高校生(応募当時)が、ボルボックスという群体を形成する緑藻を電源として活用する、という斬新なテーマの探究作品。自分の興味関心をもとにしたからこその着眼点でこうした斬新なテーマになったといえます。
光に向かって動くボルボックスの活動能力を光が無いところでも発揮させる“ゾンビ化”によって、電源としての効率を追求した探究作品です。
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② 地域の魅力と課題
自分の住んでいる地域をテーマにするのも良いでしょう。
たとえば、旅行などではじめての地域に行ってみると、自分の住んでいる地域との違いに気づくことがあります。旅行先と自分の地域を比較してみることで、地域の魅力や課題に気付きやすくなります。
自分の住んでいる地域について、
・県外の人に自慢したい、広めたいもの/こと
・住みやすくするために改善したいもの/こと
などはありませんか?こうしたことをテーマにすることは、住んでいる地域のことをより深く知ることにもなり、地域への愛着が持ちやすくなります。興味のある人は、ぜひ「地域の魅力と課題」を探究のテーマにしてはいかがでしょうか。
▼「地域の魅力と課題」からテーマを選んだ参考事例
『デジタルGEOマップの作成を通した離島地区活性化の提案』
自分たちの住んでいる長崎県の五島列島について、高校生アンケートの結果から若者が住みつづけるための地域の魅力づくりが必要と考え、行動に移した探究作品。市内の中高生と観光客が交流できる地元の商店街をつかったギャラリーづくりや、空き家対策や移住促進など地域の既存資源をうまく地域経済の活性につなげるためのプランを検討しており、地元への想いが伝わってきます。
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③ 社会課題
日本や世界が直面している課題をテーマにしてみるもの良いでしょう。
ふだんニュースを見たり聞いたりする中で、危機に感じること、深刻に感じることはありませんか?
<社会課題の例>
・年々深刻化する台風やゲリラ豪雨などの異常気象
・ロシアとウクライナの戦争
・円安や物価高
etc.
このように、特にあなたが注目している社会課題があればテーマとして選んで、なぜ起こっているのか、どんな解決策があるのか、を深掘りしてみるのも良いでしょう。
▼「社会課題」からテーマを選んだ参考事例
『身体の性別が女性であることに違和感を持つ中高生のための胸つぶしを作る』
授業の一環でトランスジェンダーの方がゲスト講師として体験談を聞く機会があり、体は女性だけれども自分の性別に違和感があるため、合う下着がなくて困っているトランスジェンダーの方々がいることを知った高校生(応募当時)の探究作品。体の性別に違和感を持つマイノリティの方々のために「胸を平らに見せる下着」をつくれないかと考え、下着メーカーからの協力を得ながら、改良を重ね下着づくりに取り組んでいます。
≫ 作品閲覧はこちら
④ 日々の生活
ふだん生活している中で感じた、ちょっとした疑問を持つことも探究のテーマになり得ます。その「なぜ?」を追求してみると、予想外の事実を知ったり、発明するかもしれません。自由すぎる研究EXPOには以下のように、日常のちょっとした「なぜ?」をテーマにした探究もたくさん応募いただき、審査を担当した企業や大学の大人たちからも称賛されています。
▼「日々の生活」の中からテーマを選んだ参考事例
・『最後まで落とさず食べられる棒アイスのかたちは?』
・『ジェットコースターで痩せるには⁇』
・『本当に麺はのびたのか』
※いずれも2023年度入選作品
日々の生活から感じたことは探究のタネです。
学校の授業で行う探究だからと気張らずに、テーマにできることがないかあらためて思い起こしてみましょう。
3. 探究テーマを選ぶ際の注意点
テーマ選びの際には、以下の点に注意しましょう。
①調べるとすぐに答えが出てしまうものになっていないか?
調べてすぐ答えがわかってしまうのでは探究学習ではなく、調べ学習です。自分なりにテーマを模索できるような探究のしがいのあるものを選びましょう。
②一度で決めきらなくてもOK、途中で変更してもOK
テーマは探究を進める過程で変えていくことも可能です。いざ始めてみたら、なかなか情報が出てこない、先行研究があるからすぐに答えが見つかってしまったという場合もあるでしょう。
一度決めたテーマをずっとやり続ける必要はありません。思い切って変えてみるのも良いですし、テーマはそのままで切り口を変えてみるのも良いでしょう。
「自分の選んだテーマを磨く」という観点を持ち、探究のしがいのあるように柔軟にテーマを進化させていきましょう。
探究学習は、自分自身の成長と発見のための重要なプロセスです。取り組む過程で、自分が今後進学して学びたいこと、就きたい職など将来につながることもあるかもしれません。
みなさんにとって、充実した探究活動になることを願っています。
4. どうしてもテーマが決められないなら
以下のページに、自由すぎる研究EXPOに寄せられた探究作品のタイトルをジャンルごとにまとめました。
https://tankyu-skill.com/article05/themelist.html
どうしても決められない!という人は、全国の中高生がどんなテーマで探究に取り組んでいるか見てみましょう。
テーマの設定の仕方や、切り口が参考になるかもしれません。事例をヒントに、自分ならではのテーマを見つけましょう!
企画/編集:自由すぎる研究EXPO事務局