「探究で大学の進路を決めた」現役難関大生に聞く高校での探究の魅力

「探究ってそんなに大事なのかな?」そんな声が生徒さんやその保護者の方々から聞こえると、先生方からお悩みを頂いています。実際、国数英などの主要科目に比べて、探究や総合学習といった科目の重要さは理解されにくいものです。

そんな悩みに対しできることはないかと考え、THINK TANQ編集部は高校時代に経験した探究が進路選択に影響を与えたという現役大学生3人にインタビューを行いました。

彼らにとって高校での探究がどれほど大事だったか、高校卒業後の進路にどのような影響があったのかを主に、当時の先生との思い出やエピソードなどについても語ってもらいました。

また、これから探究をする生徒さんたちに向けて、役立つ探究のコツも教えていただきました!

目次

  1. テーマの選び方
  2. 探究との出合いによって変化したこと
  3. 探究のモチベーションは何だったのか?
  4. これから探究する高校生へのアドバイス

テーマの選び方

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―― 探究するといっても、何について探究すればいいのか、なかなか決められない、ということもありそうです。そもそも「探究」のきっかけって、どんなものがあるのでしょうか?

「僕の場合は、もともと興味があったわけではないのですが、たまたま清掃バイトで見かけたアブラムシをテーマにしました。でも、この探究活動が楽しかったので大学も生物系を選ぶことにしました」(慶應義塾大学3年[取材時]・井川 恭平 さん)

テーマとの出合いはたまたまだったとしても、探究活動を楽しい体験にできたことで、自分の進路を決めるきっかけになったのですね。探究を通じて思いもよらない魅力の発見につながることもあるようです。

「高校1年生の夏に留学したのですが、そこでのファストファッションの講義が心に残っていました。帰国後にもファストファッションの問題を調べ続け、低賃金労働者の人権問題やすぐに廃棄される環境問題などの現実を知り、自分の中で問題意識が大きくなっていったんです。でもこの問題を伝える手段がなかなか無くて……そう思ってた時に学校で探究の授業があったんです」
(慶應義塾大学2年[取材時]・寺原 クレオ 美陽 さん)

1人目の方とは異なり、こちらは普段気になっている問題から探究のテーマを決めたのですね。もともと深刻に受け止めていることだからこそ、テーマへの強い思いが行動力になったのだと思います。

探究との出合いによって変化したこと

―― 探究との出会いによって変化したこと、探究によって進路を決めたということですが、探究を始める前はどのような生活を送っていたのでしょうか?

「僕はもともと飽き性なタイプで、探究を始める前はやることもなくダラダラしてました。勉強は苦手で、宿題も全然出してなかったので、学校の定期テストの順位も悪かったです」(井川さん)

意外ですね、高校時代から探究するくらいなので、探究を始める前から意欲的に勉強に取り組んでいたのかと思っていました。探究を始めてからはどのように変わったのですか?

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「研究に夢中になりました。探究活動を進める際に何度も実験を行ったのですが、その実験の中には、自分では考えもしなかったような結果が出る時があって。そんな時は最高にワクワクしました。最初はパニックになるのですが、なぜそうなるのか考えるのがとても面白かったです」(井川さん)

飽き性な性格でも実際に探究を始めてから夢中になれたのですね。“物は試し”という感じがします。自分は探究に向いていないと思う方でも、まずは始めてみてはどうでしょうか?

探究のモチベーションは何だったのか?

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―― 実際に探究活動を通じて感じた、探究のモチベーションは何だったのでしょうか?

「僕は受験のためではなく、ただ楽しかったから研究をやっていたんです。飽き性でも好奇心があったから研究にのめり込むことが出来たと思うんです」(井川さん)

確かに、受験のための探究活動より興味や楽しさからする探究活動の方が熱中して取り組むことができそうですよね。そう聞くと探究に対するハードルが下がった方も多いのではないでしょうか?

「 色々ありますが、やっぱり担当の先生のやる気や一言が自分のモチベーションになりました。私の場合、先生と頻繁にコミュニケーションをとりアドバイスをもらっていたので、モチベーションを保てました」(中央大学1年[取材時]・川崎 大一郎さん)

高校生であれば探究活動で何をしたら分からないことも多いと思います。そういうときに相談できる担当の先生がいればとても心強いですよね。

これから探究する高校生へのアドバイス

―― 探究活動の先輩として、現在の高校生に向けて、探究活動を進める上でのアドバイスを教えてください。

「自分の興味ある分野、普段から感じる課題や疑問、将来やりたいことを調べるのが一番でしょう。しかし、まだ何にも将来が決まっていない人はテーマ決めで結構迷うと思います。でも私はそういう人こそチャンスだと思います。何も決まっていないからこそ、自分に合ったテーマは無限に存在します」(川崎さん)

「せっかく探究活動を行うのであれば、ぜひ楽しんでやってもらいたいですね。せっかく探究活動を行うのであれば、やらなきゃいけないからやる、という気持ちでやるよりは楽しいからやる、という方が良いと思うんです」(井川さん)

高校生でも、将来に何をしたいか決まっていない人は意外と多いと思います。しかしそういう人だからこそ、探究活動は自分の将来への可能性を広げるきっかけになるのではないでしょうか? また、興味があることを楽しんで取り組めばモチベーションも維持できます。このことは大学での研究にも言えます。純粋に自分の関心を深める気持ちで高校での探究に取り組んでみてはいかがでしょうか?

(編集:桑名真結香/THINK TANQ編集部)

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記事公開日:2020年10月22日

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