高校の探究と大学の学びの接続点

総合的な探究の時間がいよいよ本格的に展開され、教育現場からも「探究を進路指導や大学選抜と結び付けたいが、どうなのだろうか?」というお声をいただくことが多くなりました。

この質問には大きく二つの論点が含まれていると思います。

① 探究を大学選抜につなげようという考え方の是非
② 探究と大学選抜・進路指導を結び付けるにはどうすればよいか

①については、以前の記事「なぜ、大学は総合型選抜に力を入れるのか? ――大学が語るこれからの時代に求められる人材像」でも触れたように、大学も探究的な学びとの接続を期待していますし、むしろ、積極的に生徒のキャリア形成に接続して考えるべきだと言えると思います。

そこで、今回は②の「どうすれば良いか」について考えてみたいと思います。

探究の問いこそが生徒の進路につながっていく

トモノカイでは教材や、大学生・大学院生による中高生の探究活動に対するフィードバックなどを学校現場に提供していますが、その中で、探究活動を進めると例えば下記のようなシーンがよくあると思います。

焦点がぼやけていて問いの「磨き方」が分からない

ご覧いただくとわかるように、生徒はざっくりとした興味関心や課題感は提示できるものの、それが探究しうる問いになっているかといわれると、ぼんやりとしていて「磨き方」が分からない。……と言った状況になるかと思います。

このような場合に、私どもトモノカイでは、下記のようなアドバイスをさせていただきます。

a. 注目点の明確化
b. どのように見たいか・関わりたいかの明確化

a.は、漠然としたテーマに対して具体的にどこを切り出すのか、という視点です(下図参照)。

a.)問いを磨くためにテーマから切り出す(注目点の明確化)

b.は、aで特定した注目点を、どのような「見方・考え方」の軸で捉えようとするのか、という視点です(下図参照)。

b.)見方・考え方の軸で捉える(どのように見たいか・関わりたいかの明確化)

a.は問いのサイズを生徒が扱えるものにすることに役立ち、b.は問いの中でどのような学域の学びとつながっていくのかを生徒が自覚することに役立つと言えます。

生徒の漠然としたテーマに対してa. b. 二つの視点で、自身はどのような視点を選択したいのか/するのか、を自覚させていくことは、すなわち「何に着目・注目し学びたいのか? どのような“見方・考え方”で学びたいのか?」を自覚することであり、これはまさに、自身の進路を考えることに直結しているわけです。

ここまで進めてきて、「概念は分かるが、より具体的にどうするのか?」という、先生からのご意見が聞こえてきました。そこでトモノカイでは、このシリーズで、大学様の協力もいただきながら、大学別にa. b.の例示として、大学の具体的な研究内容などのまとめ情報を発信していこうと思います。

これらの記事群が先生方の進路指導の一助となれば幸いです。

執筆:日本探究部編集部

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