【第一弾】探究テーマ探しのヒントにも。自由すぎる研究グランプリ事務局の推し作品をピックアップ!

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>自由すぎる研究2024の公式サイトはこちらからご覧ください<<

今年度から高等学校において必修となった「総合的な探究の時間」。
「探究型入試」を採用する大学も増えていることからも、進路やキャリアにも影響しうるこの探究的な学びへの注目度の高まりを実感することができます。
本記事では、惜しくも1次審査の通過は逃してしまったけれども、トモノカイの〈自由すぎる研究グランプリ運営事務局〉が推した作品に着目してみました。
本当に自由すぎるテーマが集まっており、一度に記事で紹介することが難しいので、いくつかのカテゴリーに分けたシリーズ記事としてご紹介します。

目次

  1. 「自由すぎる研究グランプリ」とは?
  2. 今回のカテゴリー:企業に見立てたチームを結成! ソリューションを展開シリーズ
  3. ① 新たなる政治
  4. ② 教育制度を最大限活かせるように
  5. ③ e-sportsの社会的認知度
  6. ④ Meanfully
  7. ⑤ 幸せが広がる!国産ジビエをあなたへ ~ 一頭でも多くの命を「無駄にしない」社会の実現に向けて ~
  8. ⑥ オタクへの理解を世界へ

 「自由すぎる研究グランプリ」とは?

探究的な学びへの注目が集まる中、今年度より生まれたのが「自由すぎる研究グランプリ」です。
テーマは“自由すぎ”てOKな、探究成果の全国大会ということで、各地の高校生(中学生も!)から、本当に“自由すぎる研究”たちがたくさん集まってまいりました。
※本大会では探究を自由研究になぞらえています。

自由すぎる研究グランプリ公式ホームページ
※旧サイトです。自由すぎる研究2024の公式サイトはこちらからご覧ください<<

1次審査は6月中に行われ、大学生のべ1,000人による投票の結果、上位23作品が決定しました。現在、審査員企業による2次審査にて選出された6作品について、最終審査が行われています。

今回のカテゴリー:企業に見立てたチームを結成! ソリューションを展開シリーズ

今回紹介する研究作品は、どれも企業に見立てたチームを編成し(しかも企業名も意味をもって名付けている!)、課題に対する解決策となる製品を提案しているものです。どれも本格的に実証や研究がされていて、将来が楽しみになりました。
※ハッシュタグは、応募時に参加者が任意でつけてくれたもので、画像は、提出された作品の表紙です。

① 新たなる政治

#new選挙

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どんな内容?
現在、若者の投票率が低いなど、若者の政治的関心の低さが問題となっています。現代の若者は、紙媒体での情報収集はあまり行いません(彼らのアンケート調査結果より)。しかしながら、議会だよりをはじめ、公約を掲載しているメディアは基本的に紙媒体が中心だというのも現状です。そこで彼らが提案するのが、政治情報を簡単に見られるWebサービス「VisPoli」です。公約(政策)がカテゴリーごとに整理されており、気になるカテゴリーをタップすると公約の名称や打ち出した人物などが一覧で表示されます。さらに、その中から気になる公約名をタップすれば、それぞれの概要も表示される構造となっており、全体を通じてシンプルに公約を把握することができます。若者の情報収集媒体としてなじみのあるWebを活用した本サービスは、地域の議員からもフィードバックを受けて実際に使えるWebサービスとして形になっており、地域の議員からもフィードバックを受けています。

ここが事務局の推し!

  • 若者の投票に課題意識を持っただけでなく、その解決に向けて、まさに若者自身の経験や感覚を生かしたサービスを提案している。
  • 「公約」がカテゴライズされてわかりやすくまとまっているので、政治への関心を持つ入り口になる。
  • 公約の進行状況を4段階評価で明示している。政治家にとっても投票者にとっても共通理解が図れる。
  • クラスメートだけでなく、議員や、同じく若者である大学生にも意見やフィードバックをもらっている。

今後に期待したいポイント

  • 杉並区議員からフィードバックのあった、情報の「信憑性」をいかに確保してサービスを展開できるか。
  • カテゴリーの細分化に期待。公約ごとのカテゴライズでなく、政党ごと、年代ごとなど様々なカテゴリー分けになればより公約への理解が深まりそう。

 

② 教育制度を最大限活かせるように

#大学制度 #科目等履修生 #偽株式会社CROB

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どんな内容?
各年代に適した大学制度を簡単に閲覧できるwebサイト「CROB」。「“科目等履修生制度”をご存じですか?」という問いかけに始まり、学びを深めたい人々のために存在する制度が十分に活用されていないことを問題として掲げています。また、ユーザーを「再び学び直したい、新しいことを学びたいと考えている人」を対象としており、学生だけでなく、大人にとっての学びを手助けするサービスであることが興味深い観点です。どのように売上を立てるのかという資金収集方法も設計しているほか、街頭インタビューや学びに関係のある企業からのフィードバックも得られており、実現が楽しみになるサービスです。

ここが事務局の推し!

  • 大人になっても学びたいと考えている人にとっての機会創出になりうるところ。
  • 多種多様な「大学制度」をまとめて見られるようにし、それぞれの認知度や活用を促進しようという着眼点。
  • 大学の資料をユーザーへ売ることによる集金や広告掲載による集金など、複数経路からのマネタイズを設計している。
  • 「CROB」サイトを使いたいか、30~40代、65歳以上の男女100人に御茶ノ水で街角インタビューするというガッツ。

今後に期待したいポイント

  • 国内外問わず様々な大学と連携できたら面白そう。
  • このサイトが実現されると、大人になっても大学で学べるという社会がより加速する未来も実現するかも?

 

③ e-sportsの社会的認知度

#e-sports #Re-Expose #apex

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どんな内容?
TVゲームをスポーツとして取り組む“e-sports”。近年ではプロチームが誕生し、大きな賞金を手にするなどのニュースも話題になっています。しかしながら、e-sportsに対しては依然としてマイナスな印象や、あくまで娯楽というイメージが持たれている現状があります。その問題への解決策の一つとして校内で「Apex Legends」の大会を開催することで、ゲームの様子が他人にも見えるようにし、その技術や成果が認められる場を創出したのがこちらの作品です。オンライン形式の実施につき、「Discord」というコミュニケーションアプリも用いて運営しているのが現代的です。また、大会の事前と事後にアンケートをとることで、e-sportsに対する印象や感覚の変化も比較しています。

ここが事務局の推し!

  • 学校全体でe-sportsの大会を開催してしまう、という前例のない取り組みを実施するチャレンジャー精神と企画実行力!
  • ゲームやe-sportsに対する偏見に一石を投じるような取り組み。
  • 社会におけるe-sportsへの認知を当たり前とせず、問題意識をもって向き合えている点。

今後に期待したいポイント!

  • より規模を拡大するという面では、校内だけでなく、地域の学校や団体などで対抗しても面白そう。
  • そもそもなぜe-sportsに対するマイナスイメージが定着しているのだろうか? その根本を解決できる道もあるかも。

 

④ Meanfully

#自制 #イゾンじゃなくてイソンだよ

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どんな内容?
スマホ自制(使わない時間を作る)を促進するアプリ「Meanfully」を開発。アプリ名の由来は“スマホの代わりに読書や運動、映画鑑賞など有意義に時間を使うという意味で、Meaningful「有意義」という英単語を元にアプリ名を考えた”とのことです。特徴は、スクリーンタイムの減り具合をランキング形式で表示し、競争心を刺激することでスマホの自制につなげている点です。実際にプロトタイピングのツールである「Prott」や、アプリの開発ができる「Adalo」などのツールを活用し、アプリとして実用できるようにしているのには驚きました。関係のある高校や近所の小学校へのアンケートのほか、大学生や企業へのプレゼンおよびフィードバックなど、様々な人の力も活用することでサービスの質も担保できています。

ここが事務局の推し!

  • スマホ世代の自分たちにとって身近な問題に当たり前意識をもつのではなく、解決策を考えている点。
  • 既存の同様サービスの問題を分析し、自分たちの提案をしている点。まさに企業が目指す“負の解消”を体現。
  • 複数のツールを用途に合わせて活用して、実用に耐えるアプリを開発。すごい!

今後に期待したいポイント!

  • 社会人向けにも使えるようなサービスとして磨き上げてくれるととても嬉しい。
  • クラス、学年、学校、地域などいろんな規模で戦えたら面白いかも?

 

⑤ 幸せが広がる!国産ジビエをあなたへ ~ 一頭でも多くの命を「無駄にしない」社会の実現に向けて ~

#ジビエ #獣害 #地域課題 #サステナブル #利活用ソムリエ #命

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どんな内容?
「日本において年間約135万頭の鹿猪が捕獲されるのに対し、ジビエとして利活用されるのは13万頭とわずか一割程である。今日もどこかで122万頭の尊い命がゴミと共に燃えている。つまり、国産ジビエがほとんど流通しない現状にある。」この衝撃的な事実に課題感をもち、解決策を提案している作品です。農家や大学教授、ジビエ猟師など鳥獣に関連する人々にインタビューを行いながら、丁寧にかつ多様な視点での問題分析ができているのが特徴。普段捨てられてしまう「骨」を利活用したワークショップ「Re.BONE」も非常に興味深いです。

ここが事務局の推し!

  • 獣害に悩む農家、新規猟師を育成する事業者、野生生物の研究をする大学教授など、ジビエにつながる大人たちと対談する行動力と積極性、視野の広さ。
  • 実際にジビエ猟を行っている現場での一日修行。自分たちの目で確かめている。
  • ワークショップ「Re.BONE」のアイデア。グループディスカッション、キーホルダーづくりと、ただ楽しかったで終わらない工夫が見える!

今後に期待したいポイント!

  • ジビエのもつ課題の一つでもある若者の巻き込みに対して、他にはどんなことができるのだろうか?
  • ジビエツアーの考案というまったく新しい取り組みもアイデアとしてあるようなので、とても楽しみ。

 

⑥ オタクへの理解を世界へ

#オタクの輪を広げたい #自分の好きを伝えたい

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どんな内容?
自分の趣味について無知な人から「勝手なイメージで卑下された」という実際にあった不快な経験から「オタク」と「偏見」をテーマに活動してきたという彼ら。初期のプロジェクトはオタクのコミュニケーション能力の解決を目指していましたが、企業からのフィードバックを生かし、よりオタクに特化したプロダクトを目指していくことに転換した結果、「O T A K E II」という対戦カードゲームを発案しました。オタクの特徴や説明文を一枚にまとめ、オタク文化への興味を促進してまわりの視点を変えてしまおうという挑戦です。ただし、カードを集めるだけではメリットに欠けることから、オタクの個性をそのまま能力とした対戦カード形式にしゲーム性で価値をつけています。

ここが事務局の推し!

  • 「オタク」に対する世間の認識そのものを変えるのではなく、それ自体を思いっきり生かして魅力にしてしまうような、対戦ゲーム形式のカードというアイデア。
  • 人の「好き」を否定せず、好きなものは好きとして生きていいようなそんな安心感さえ覚える取り組み。
  • ただカードにしても買ってもらえないからゲーム性で付加価値を付けるという、顧客目線や普及の面まで考案できている点。

今後に期待したいポイント!

  • 実際にカードを鋭意制作中とのことで、完成がとても楽しみ。
  • 次のステップとして挙げられている「オタク自身にも働きかけるワークショップ型コンテンツ」の運営、どんな内容か気になる!

◇ ◇ ◇

本記事では、課題解決策を展開するテーマの中でも、特に事務局が推した作品たちをピックアップして紹介いたしました。
今回の探究成果から新たに見つかった発見や課題を存分に生かして、探究を続けていってほしいと思います。
「自由すぎる研究グランプリ」は、「学校で行う探究の成果をより多くの人に評価される場があればいいな」と考えている先生方や生徒の皆さんにとっても活用していただける大会です。
本大会の次回開催時期は未定ですが、またパワーアップした形で帰ってきます。
今回は応募が間に合わなかったという方も、ぜひ次回から挑戦してみてくださいね。
また、今回の「自由すぎる研究グランプリ」については、引き続き審査が進んでまいります。
最終的な大賞は8月下旬に発表予定ですので、お楽しみに!

執筆:佐瀬友香(自由すぎる研究グランプリ事務局)

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