
探究活動に取り組むことになり、最後のまとめ方を、レポートや論文を書かせたい、という意向を持たれている学校も多くあるかと思います。
ここで、実は論文には、種類があることをご存知ですか?
そして、種類の違いによって、問いの立て方も異なることをご存知ですか?
今回は、論文の種類について、ご説明をしていければと思います。
論文の種類は、大きく分けて2種類ある
まず論文とは、研究のプロセスと結果を筋道立ててまとめた文章のことです。
ここで、論文には、大きく分けて、2種類あります。
それは、「報告型論文」と「論証型論文」です。
報告型論文とは、掲げたテーマについて、調査をした結果を報告する文章のこと。
論証型論文とは、掲げた論題に対して、事実に基づき、結論と根拠を論理的に述べた文章のこと。

例えば、テーマを「ごみ問題」として論文を書く場合。
報告型論文では、「ごみ問題について」とテーマを設定したら、ごみ問題について、問題の種類ごと(ex.ごみの不法投棄問題、ごみ処理方法の問題)に分けて、原因/結果/対策を調査し、その調査結果をまとめて伝えるというスタイルになります。
一方、論証型論文では、「日本ではゴミ分別が厳しいにも関わらず、OECD諸国の中でリサイクル率が低いのはなぜか?」という論題を立てたら、こちらについて、リサイクル率が低い原因について、自分なりの結論と根拠を述べていくスタイルのものになります。
なお、難易度として、(易)報告型論文<(難)論証型論文となります。

それは、報告型論文は、テーマに対して調べたことをまとめればいいことに対して、論証型論文は、論題に対して、きちんと根拠の裏付けとなる事実を集めながら、結論と根拠を述べていく必要があるためです。
報告型論文≠ただの調べ学習
ここで、報告型論文については、え、ただの調べ学習?と思われる先生もいらっしゃるかもしれません。
いえいえ。
きちんと報告すべきテーマに対して、情報源の確からしさを意識しながら、精緻に、多角的に調査をした場合、それは論文としても十分成り立ちます。その際、結果を、読み手の立場に立ってわかりやすく伝えることを意識してまとめることがポイントです。
要は、何のためにこの報告を行うのか、という目的意識がないまま、なんとなくネット検索した情報をコピペしただけ、というモノはNGということです。
これは、調べ学習がいけないのではなく、なんとなくネット検索した情報をコピペしただけ、というプロセスに陥っている場合、NGだということです。

なぜなら、その行為は、頭を使ってないからです。
大切なのは、探究活動を進めるプロセスの中で、どれだけ思考が深まっているかです。
調べ学習も、
情報源の確からしさを意識しながら多面的に調べる、
調べた結果、新たに生まれた疑問に答えていく、
集めた情報から、自分なりの見解を出していく、
相手にわかりやすく伝えるために情報を構造的に整理する、…etc
など意識することで、より思考を深める活動にしていくことができますので、ぜひプロセスの質に着目をしてみてください。
初めに目指したいレベルを決めておくことが大切!
なお、探究活動を論文やレポートという形式でまとめたい、という場合は、まず目指したいレベルとして、生徒に報告型論文を書かせるのか、論証型論文を書かせるのか、決めることをおススメします。
中には、「どちらでもいいです、生徒がいけるなら論証型論文まで目指せばいいし、難しければ報告型論文で。」と言われる先生が中にはいらっしゃいます。
この考え方は要注意。
それは、報告型論文のリサーチクエスチョンの立て方と、論証型論文のリサーチクエスチョンの立て方は異なるためです。
つまり、はじめにどのようなリサーチクエスチョンを立てたかによって、論証型の論文として進めるのか、報告型の論文として進めるのかが決まります。
ですので、ある程度先生にて、どのレベルまで生徒に目指させたいのか、事前にイメージを固めてから臨むことが大切です。
ぜひ探究活動を、論文やレポートという形でまとめたい、という場合は、報告型でいくのか、論証型まで目指すのか、あらかじめイメージをもって、臨んでみてくださいね。
ということで、今回は、論文の種類についての説明を行いました。
次回は、「問いを立てること」についてお話をしていきたいと思います。