先生も生徒も「楽しむ」探究と、教材活用のすすめ

★こんな先生方にオススメ★

・総合的な探究の時間を教科横断的なものにしたい先生方
・学年全体での探究への取り組み方が気になる先生方
・生徒も先生も楽しめるような探究の授業事例が知りたい先生方


東京都立松が谷高等学校は、東京都の八王子市に位置する、たくさんの自然に囲まれた学校です。

同校では、現在それぞれの学年で探究的な学習に取り組んでおられます。

1年生では『一生使える探究のコツ 思考の手引き ~整理・分析編~』が導入されていますが、コロナによる分散登校などの影響で、6月下旬にやっと2回目のレッスンを迎えることができたといいます。

今回は、1年生の探究活動を主導する公地日香里先生に伺ったお話と、実際の授業の様子から、探究的な学習において大切なことを探っていきます。

授業見学編! 全8クラスで同時展開される探究の時間

ワンフロアにずらりと並んだ1年生の教室。

普通科と普通科外国語コースで構成された全8クラスが一列に並んでおり、6時間目に一斉に探究の時間が始まりました。

公地先生は5組の担当。前回の復習をして、lesson2『主張には根拠を』に入ります。

本レッスンは、前半の「お小遣い」のパートと後半の「宇宙船」のパートの二つに分けられています。
それぞれのパートで、基本は”ワーク→話し合い→発表” という流れで授業をされる様子。

まずは教材に沿って、はじめのワークは個人で行ってから、周辺での確認やグループワークに入っていきます。

ワークに取り組む生徒と、その様子を見守る公地日香里先生。

いきなりグループワークから進めるのではなく、まず一人で考えをまとめてから初めて周りに意見を共有するという流れによって、一人ひとりの学びの時間が形成されていました。

一方、他のクラスでも、教材をもとに同じような流れと時間配分で授業が進んでいます。

後述しますが、クラスによって授業の「色」があり、それぞれ個性が出ているのが非常に興味深い点でした。

さらに注目したいのは、全クラスに共通していた「グループワークの機会」が多くとられているという点です。

授業の前半では、周辺での確認がメインで2、3回。後半ではさらに大きなグループで意見交換をし、結論を発表するというように、トータルで3、4回程度のグループワークがありました。

ここでの先生の役割は「教え導く人」というよりも、生徒を支える「サポーター」のような存在であり、かつ生徒同士の積極的な意見交換を促す「ファシリテーター」であるという印象です。

なお授業中に集中力が切れて、遊び中心になるようなことがなかったのは、ワークや話し合いの時間をタイマーで計るというように、メリハリがしっかりついていたからでしょう。

クラスによって大幅に進行が遅れる、あるいは早まるといったことはなく、最後の振り返りページの記入まで含めて、45分間ぴったりで授業は終了しました。

「生徒が楽しむ」ことを第一に! キーワードは「グループワーク」と「世界観」

松が谷高校では、探究的な学習において、第一に「生徒が楽しめること」を大切にしているといいます。

だからこそ、グループワークを多くとることで、生徒たちの交流を重視していたのですね。

グループワークの時間は「こんな考え方もあるんだ!」「この意見は考えつかなかった!」など、様々な意見を聞くことができる貴重な機会。

「自分以外の意見を知ることを楽しんでほしい」と公地先生が言うように、楽しんで活動に取り組める要素として、充実したグループワークは重要だといえます。

グループワークで、生徒たちが議論を行う様子。

また、生徒たちを世界観に入り込ませることも、生徒が楽しめる授業につながります。

例えば松が谷高校では、後半の「宇宙船」のワークにおいて、グループを“宇宙船”に、生徒を“船長と船員”にみたて、”緊急会議”を行っているクラスがありました。

生徒たちは「世界観」に入り込むことで、楽しみながらも自分事として判断ができている様子。
中には議論だけでなく、仮置きした数字を基に計算して、数学的に判断したグループもあるなど、非常に奥行きのある授業となっていました。

「生徒たちが楽しんでいること、その様子を見ることが先生にとって嬉しい」という公地先生。
松が谷高校の探究的な学習の時間は、生徒にとってはもちろん、先生にとっても楽しい時間となっているようです。

先生方の「色」がでる? 探究的な学習と他教科の関連性とは

前述のとおり、同じ教材を使って、同じ時間に同じlessonを指導していても、クラスが一つ違えばその「色」が違います。

これには、高校の先生方がそれぞれ持つ担当教科が関係しています。

例えば数学の先生のクラスでは、グループでの議論も「論理的」であることを重視した指導がなされていました。

一方で、先生が英語で問いかけや指示をするような、授業時間が基本的に英語で進行するクラスもあります。

授業内に出てくる“ろ過装置”の説明を、動画を用いて行うクラスもありました。

高校では担当教科を持つこと自体が当たり前であり、気づきにくいところではありますが、こうした教科の特徴自体が探究的な学習における「色」となって表れてきます。
これは探究的な学習における他教科との関連性という意味でも、非常によい例でしょう。

逆に探究的な学習によって、他教科への効果が期待できる場面もあります。

例えば、公地先生は英語科を担っていますが、ライティングにおいて「文章の書き方」のスキルが身についていない生徒が多いというお悩みを持っていました。
具体的には「冬が好きです。なぜなら虫がいないからです。」のような、主張に対して適切な根拠付けができていない文章が多く見られたといいます。

これは英語科での指導だけでは補うのが難しい部分ですが、探究的な学習では「主張と根拠」について学ぶ場面があります。

どんな教科においても「根幹」ともなる部分を学べるという点で、探究の時間は他教科への効果が期待できます。

教材の活用で、どのクラスでも安定した授業を

探究的な学習の特徴は、「どの教科の先生も関係なく、探究の授業を行うこと」です。

これは他の教科ではありえないことだからこそ、どうしたらいいか分からない、と不安に思われる先生方が多いのも事実。

公地先生も実際に「探究の時間におけるグループワークの進め方に不安を感じる先生もいた」と語ります。

トモノカイの取材に答える公地日香里先生。

『一生使える探究のコツ 思考の手引き ~整理・分析編~』の教師用解説書には、グループワークのタイミングや進め方、時間配分の目安を詳しく記載しています。
グループワークを含めた探究の授業の進行を不安に思われる先生方にも、安心してご利用いただけるのが特徴です。

教材を活用することによって、先生ごとの不安や不得手な部分を補いながら、得意な分野が際立つ探究的な学習の時間を展開することができます。

また、松が谷高校では、事前に数分程度、授業の流れを先生同士で確認するだけであるにも関わらず、授業のペースや進行にズレが殆どありません。
それは教師用解説書によって、大まかな授業の流れを全員が把握できるようになっているからといえます。

そもそも教材がない場合は、内容や流れ、時間配分まですべてゼロから決めていかなくてはなりませんから、ここでまず時間を要します。
その後の先生同士の授業の進め方を合わせる際にも本来、非常に時間がかかるところです。

しかしながら、「これを確認すれば授業ができる」という安定した軸があることで、特別な研修をせずとも、授業の進め方に共通認識を持つことができます。

担当教科の授業や部活などで多忙を極める先生方にとって、教材活用により授業準備の時間を短縮する松が谷高校の例は、非常に参考になるのではないでしょうか。

総括

『一生使える探究のコツ 思考の手引き ~整理・分析編~』を用いて学習する生徒たち。

ここまで、公地先生のお話や実際の授業の様子を基に、探究的な学習において大切なことを探ってきました。

松が谷高校においてはまず「生徒に楽しんでもらう」という軸があり、そのための拠り所として、教材の利用があったといえます。

そして、この軸があるからこそ、先生ごとの特色ある授業が展開されていたといえます。

このことから考えると、まずは学校として「生徒にどうなって欲しいか」の軸を決めることが、より探究的な学習を進めるにあたって大切なことといえるのではないでしょうか。

また今回、多忙な先生方にとって、教材の利用が大幅な時間のカットになっていることも分かりました。

授業準備にかかる時間を短縮することで、先生方にも今以上に心の余裕ができ、より探究の授業を充実したものにできるといえます。

総合的な探究の時間においてお悩みの方は、ぜひ教材を導入してみてはいかがでしょうか。

◇ ◇ ◇

今後も、探究的な学習においてお悩みの先生方のお役に立てるよう、様々な角度から取材を行い、事例を紹介して参ります。

<東京都立松が谷高等学校で使用していただいている教材>

トモノカイの探究教材『一生使える探究のコツ』シリーズご紹介ページ


>>>これまでの事例取材記事はこちらよりご覧いただけます!<<<


(執筆:佐瀬友香/トモノカイ)

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