【教材導入事例】課題設定の仕方や教員連携をどう考えるか|真庭高校

高校新学習指導要領に設けられた「総合的な探究の時間」。2022年度からの学年進行でのスタートに先駆けて、今年度から各地で先行実施が始まっています。探究というキーワードが浸透する一方で、実施にあたり不安の声も少なくありません。
そこで、岡山県立真庭高等学校での探究の取り組みについて、ご紹介します。

(以下、2019年7月22日付け日本教育新聞の掲載記事を記載)

地域連携の探究が充実

岡山県立真庭高等学校(赤松一樹校長、生徒数430人)は岡山県の北中部、落合高校と久世高校の2校を統合し2011年に開校した高校だ。2カ所の校地に普通科、生物生産科、食品化学科、看護科専攻科を設置する。

開校以来、普通科では週1コマの探究の時間(TR)を設定し、郷土の自然や産業をテーマにした活動を続けている。「真庭の特産物PR」「湯原温泉の活性化」などのプロジェクトを生徒が自由に選択して1年間探究を行う。

今年度は地域のローカルケーブルテレビ局とともに、SDGsをテーマにした番組制作、市民団体と連携した地域の空き家・空き店舗活用、SNSを通じてSDGsの啓発チャンネル立ち上げ、グッズづくりなどに取り組んでいる。

課題設定をどう考えるか

同校で探究の推進リーダーを務める中山順充教諭は、生徒による探究の課題設定がうまくいかない場合は「こちらから課題を与えてもよい」と考えている。テーマを決められず、探究の必要な体験ができなくなるのなら、ある程度型を決めて生徒に提示することも必要という考えだ。その際は、活動を通じて「何を学ぶのか」という目標を明確にすること、五感を通した実体験を伴う活動にすることが重要だという。自分で体験したことであれば課題を「自分ごと化」できるからだ。

さらに、地域の大人が関わる仕組みを作り、生徒が動かざるをえない状況を作ることも、生徒が主体的に活動に関われるようになるポイントだという。

探究活動を行う真庭高校の生徒達

科目「探究サポート」で思考スキルを習得

さらに同校では、探究活動の質の向上を目指して、新たな試みとして学校設定科目「探究サポート」を新設し、思考プロセスなど探究の時間の基礎を磨く時間を設けた。

教材はトモノカイの『一生使える探究のコツ 思考の手引き』を高校1年で使用。『思考の手引き』は1冊に合計10レッスンあり、現在、「人にわかりやすく伝えるコツ」「主張には根拠を」「論理的なおかしさを見抜く」「説得力のある伝え方を実践する」の4レッスンまで学習した。

実施していく中で感じているのが、探究活動に苦手意識を持っている教員が探究的な進め方に慣れるのにも適している教材であるということだ。「必要な観点を、丁寧なステップでまとめてくれている。非常に扱いやすいです」と評価した。

探究のコツ教材を用いた授業の様子

教員の温度差認めつつ、前向きに進む姿勢を大切に

地域を巻き込んだ活動が広がるのが高校ならではの探究の醍醐味だが、深さを求めるためには教員の意識改革やカリキュラムマネジメントが有効に機能していることが必要だ。同校ではあえて1人ではなく2~3人で1組の教員が生徒20名の探究を担当し、生徒の活動をフォローする。各教員の探究への理解度や熱心さに温度差があることを受け入れつつ「いい機会だから勉強しよう」と前向きに捉え、推進していける教員を増やしていくことが必要だという。

中山指導教諭は「そのためにもスタート時はしんどいが、生徒ひとりひとりに丁寧に向き合っていくことをおろそかにしなければ、1,2年後には生徒が自走できる状態までいきます」と、探究にかける時間確保の重要性を指摘する。

また、同校が探究で身に付けさせたい資質・能力を「論理的思考力・協働性・粘り強さ・地域貢献力」の4つに設定。本来なら教員全体で資質・能力についてブレストしてまとめ上げるのが理想だが、中山教諭のような探究経験者を主任として方向性をまとめていくことも効率的な方法だ。

「探究では、何をやったか以上にプロセスが重要。実際に行動してみて失敗してつまずいてこそ、身につく力がある。新しく探究を始める先生も同じ。とにかくやってみて壁にぶつかり、どうすればいいんだろう、そう考えるプロセスを大切にして」と中山教諭は話している。

探究の先生

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